このお話に出てくるおじいさんは、実にやさしい心を持っています。貧しくて、食べるものにも不自由しているのに、大事なかさをお地蔵さまにみんなあげてしまうのですから。そのことを聞いて怒りもせず、「それはよいことをしました」というおばあさんのやさしさもまた、とてつもないものです。このように「かさじぞう」は善意に満ちたお話です。その善意とは、この話を語り継いできた庶民のやさしさに由来するものにちがいありません。